牧野記念庭園について

牧野記念庭園

牧野記念庭園は、植物学者牧野富太郎博士(1862-1957)の邸宅の跡地として、昭和33年(1958年)年より一般公開されています。牧野博士は大正15年(1926年)、当時は野趣豊かであった大泉の地に居を構え、昭和32年に満94歳の生涯を終えるまで、自邸の庭を「我が植物園」としてこよなく大切にしました。 2008(平成20)年、老朽化による改修工事のため一時休園していましたが、2010年8月にリニューアル・オープンしました。

庭園には、約300種類の草木類が生育しており、それらのなかにはスエコザサやサクラ‘仙台屋せんだいや’、ヘラノキなどの珍しい種類の植物も数多くあり、学問的にも貴重なものと評されております。

令和5年(2023年)春に書屋展示室にて、牧野博士が実際に使われていた書斎と書庫に当時の様子を再現する展示をオープンしました。

正門

庭園の植物

Spring

春、庭園の入口ではカンザクラ‘大寒桜’(3月上旬~下旬)が春の訪れを告げるかのように咲き始めます。桜が好きだった博士の庭にはカンヒザクラ(2月下旬~3月中旬)、サクラ‘仙台屋せんだいや’(3月下旬~上旬)、ヤマザクラ(4月上旬~中旬)、イヌザクラ(4月下旬)など季節の移り変わりとともに、様々な桜を楽しむことができます。その他にもカタクリ(3月下旬~4月上旬)、ニリンソウ(3月下旬~4月上旬)、モチツツジ(4月中旬~5月上旬)、センダン(5月中旬~下旬)など彩り豊かな花々が咲き誇ります。

オオカンザクラ
カタクリ
センダイヤ

Summer

夏になると、庭園の木々の緑はいっそう濃く深まります。梅雨に澄んだブルーの装飾花をつけるのは、ヒメアジサイ(6月中旬)。ヒメアジサイは一度庭園では絶えてしまいましたが、博士の次女・鶴代氏が高知県立牧野植物園に贈ったものが系統保存されており、令和4年(2022年)に博士生誕160年を記念し里帰りしました。ヘラノキ(7月上旬~中旬)、ウバユリ(7月中旬~下旬)、キツネノカミソリとオオキツネカミソリ(7月中旬~8月下旬)といった花も夏に楽しむことができます。

ヒメアジサイ
ヘラノキ
初夏の庭園

Autumn

木々の葉が赤や黄、橙色に染まり始める秋。9月中旬のお彼岸にあわせてヒガンバナとシロバナマンジュシャゲが見頃となります。キンモクセイ(9月下旬~10月中旬)の花が咲き、その香りに庭園が包まれるのも秋ならではといえるでしょう。ムラサキシキブ、イイギリ、クチナシといった色とりどりの果実も実っていきます。秋が深まるにつれ、ノジギク(11月下旬~12月中旬)などのキクの仲間が花を咲かせ、ドウダンツツジやイロハモミジの紅葉も赤みを増してきます。

キンモクセイ
ノジギク
イロハモミジ

Winter

空気がキンと冷える冬。そんな寒さの中にあってもヒイラギ‘ヒトツバヒイラギ’(11月下旬~12月中旬)やワビスケ‘初雁はつかり’(11月下旬~1月中旬)は花をつけます。落葉樹がすっかり葉を落としてしまうと、庭園には柔らかな陽が差しこみます。ロウバイ(1月中旬~2月中旬)、ウメ‘緑萼梅りょくがくばい’(2月中旬~3月上旬)、ニシキマンサク(2月中旬~3月中旬)、ユキワリイチゲ(2月上旬~3月下旬)、セツブンソウ(2月上旬~下旬)などが花を咲かせ、少しずつ春の息吹を感じられるようになります。

リョクガクバイ
ユキワリイチゲ
ダイオウマツ